ストックホルムの3日間

スウェーデンに行きたい! と思い始めたのは、かれこれ3年ぐらい前になります。
で、この度、かねてからの淡い希望を実行に移すべく、僕は立ち上がったのであります。

しかし、僕がスウェーデンについて知っていることと言えば……

あとは、当地のアーティストのCDを2枚持ってる、くらいのものです。
こんなんで大丈夫なのでしょうか。


出発まで

休暇を取ろう

まず、何はともあれ、職場で休みを取らなければ始まりません。
雪や寒さは、住んでいる秋田で懲りているので、わざわざ北欧まで体験しに行くつもりは無し。行くなら やっぱり夏の時期、と思っていました。しかし今年の夏は、様々な理由により、職場全体が修羅場と化すことが分かっているので、その前に行っておかないと時機を逸します。また、9月以降になると、僕自身の抱えている仕事が佳境を迎えて来ます。というわけで、休暇取得は6月の末となってしまいました。まぁ、ここで取るよか仕方がない。

2週間ぐらい、ぶっ続けに取って楽しんでくるのが本来なんでしょうが、その時期の仕事の流れなどを考えると、ちょっと気が引けます。で、とりあえず9日間ということで設定しました。

決定
 6月24日から7月2日まで

旅のスタイルは どうすべきか

安上がりなツアーがあれば、それに越したことはない。なにせ、初めての海外一人旅です。いろいろ分からないことも出て来るだろうし、現地で何らかのトラブルに巻き込まれないとも限らない。そんな時、旅行会社が企画したツアーに乗っかっていれば、会社の方が何とかしてくれるでしょうから、こっちは安心ですよね。

で、いろいろ調べてみたのですが、どれもこれも高い! 探し方が悪かったのかも知れませんが、それにしても、30万とか40万なんてカネは、ちょっと出せません。それに、僕の行きたい所はとりあえず「スウェーデン」だけなのですが、どうも世間では、あの辺の国を「北欧」として全部一緒に纏めてしまって、全部一緒に周ってしまおうと考える方が多いらしいんですね。「北欧周遊何日間」なんて名前ばっかりが目に付くんです。スウェーデンを重点的に見て来たい僕に、合う商品が見当たらない。

そんなわけで、今回、足の手配から宿の確保まで、全部自分でやってみようと思い立ちました。これなら、ツアーと違って自由な行動も出来るし。
しかし、繰り返しますが、初めての海外一人旅です。いろいろなことがありました。

航空券の手配

現地に乗り込むのは、やっぱり飛行機です。これは当然。船や鉄道なんぞで えっちらおっちら 行ってる暇などない。
そこで、格安航空券の手配になります。現在、日本からスウェーデンへ行く直行便はないので、正規の料金を払ったりなんかしたら、えらい事になる。
今回選定した業者はシーエーエス TOUR。理由は単純で、職場の海外旅行のベテランに勧められたから、です。なんたって安いのが良い、ということだったので、その人の忠告に従うことにしました。

www上から問い合わせが出来るので、「成田・ストックホルム往復:6月24日出発・7月1日帰国」のスケジュールで手配できるか、訊いてみることに。
ところが、返ってきた返事は、あまり芳しくありません。
一番安いタイ航空使用(バンコク乗り換え)の場合、行きは何とかなるが帰りの便がどれも満席。その次の値段になると、サベナ・ベルギー航空使用(ブリュッセル乗り換え)のになるが、29日帰国じゃないと席がない、とのこと。

えー、29日帰国? それじゃ、現地出発が28日になるから、向こうでの時間が25からの4日間しかないじゃん。
と言ってみても、向こうが これしかないって言うんじゃしょうがない。いまさら休みの日程をいじるわけにもいかないので、これでお願いすることにしました。

そして、向こうから正式な日程表が送られてきました。以下の通り。

24JUN  LV:TOKYO/NARITA    1140 SABENA     SN 208 ECONOMY CLS
SUN    AR:BRUSSELS        1720            EQP:343

       LV:BRUSSELS        1935 SABENA     SN2299 ECONOMY CLS
       AR:STKHLM/ARLANDA  2145            EQP:733

28JUN  LV:STKHLM/ARLANDA  0805 SABENA     SN2298 ECONOMY CLS
THU    AR:BRUSSELS        1030            EQP:AR8

       LV:BRUSSELS        1500 SABENA     SN 207 ECONOMY CLS
       AR:TOKYO/NARITA    0955  / 29 JUN  EQP:343

 “LV” は出発地。“AR” は到着地。時刻は全て現地時間、24時間制での表記です。
 “SN〜” は便名。“EQP:” は使用される飛行機の機種なんですが、見方が良く分かりません。

というわけで、旅行日程は
 6月24日から29日 4泊6日
となりました。

初日(24日)、成田を午前中に発って現地に夜の10時ごろ着。最後の日(28日)、現地を朝8時に出る。ということは、最初と最後の日は ほとんど移動に費やされて、現地で行動できるのは 25・26・27 の3日間だけ ちゅうことになります。国内旅行ですら、こんな押し詰まった日程に しないだろうに……

そんな風に嘆いていて ふと気付いたのですが、よくよく考えれば、この時期は夏至の近辺です。北欧諸国は、白夜を求めて世界中から人が集中する時じゃないですか。そんなことは全く考えていませんでした。飛行機が込んでるわけだよ。あぁ、バカ。(今回滞在したストックホルムでは、日が沈みます)

でも、もう、決まっちゃったものは決まっちゃったんだから。
この3日間で とことん やるしかない。
もっと時間があれば、国内の色々な所に行ってみたいのですが、この短い日程で あちこち飛び回っても中途半端になるだけです。今回は、ストックホルムを重点的に歩き回ってみることにしよう。

ちなみに お値段は、約12万円也。タイ航空使用のやつが空いてたら9万円程度で済んだんですが、仕方がありません。

ビザ?

送られてきた書類に、現地入国、税関審査等は渡航者本人の責任で行いますので、入国目的に応じた必要査証の取得や、帰国便の航空券等の必要書類を必ずお確かめ下さい とか書いてあります。

「査証」? 要するにビザのこと? そんなの、必要なのかどうか知らんですよ。

スウェーデン大使館のページへ。必要な情報がどこにあるのか、非常に分かり難いページなのですが、何とか見付けました。こう書いてあります(なんで、日本人向けの情報なのに英語しか ないんだ)。

If you are a Japanese citizen, holding a valid Japanese passport, the purpose of your stay is a visit (tourist, business trip etc) and your stay in Sweden will not exceed 90 days you DO NOT need a visa.

(日本国の旅券を所持している日本国民であれば、滞在目的が旅行や職務などの訪問で、スウェーデン滞在が90日を越えない場合は、ビザは必要ありません

うん、どうやら今回の僕には要らないらしい。

宿の手配

最初の日、夜遅く現地に到着することになるので、それから現地で宿を調達するとなったら、ちょっと面倒なことになりそうです。最初と その次の晩くらいは、宿を予約して行った方が良いかも知れない。

しかし、日本から宿の予約って、どうすりゃいいのさ?

地球の歩き方”や“個人旅行”などの本には、「予約は早めに」とか何の造作も無く書いてあるんですが、自慢じゃないですけど僕なんか、日本語、それも東京近辺の言葉しか喋れませんぜ。現地の宿がそれで受け付けてくれるって言うのかい? でも、何とか せにゃあ……

少し本を読んだ限りでは、北欧諸国は非常に物価の高い所で、安いクラスのホテルに泊まったとしても、一泊1万円とか取られるようです。それは、ちょっとなぁ。それなら、ユースホステルを手配するのがいいんだろうな。

国際ユースホステル連盟のページから飛んで行ける、Svenska Turistföreningen(なんだろう。“スウェーデン旅行協会”? 違うかな)のページで、ユースホステルの情報を引き出してみました。スウェーデン語はチンプンカンプンなので、英語のページから辛うじて。どうやら、ストックホルム市内だけでも かなりの数あるようです。値段も、一泊150から250SEKに押さえられているみたいなので、貧乏旅行には適当です。
SEKはスウェーデンの通貨単位 Krona。複数形は KronorSEKは国際表記で、スウェーデン国内では kr という書き方が一般的でした。現在、1SEK=12円くらいのようです)
で、見ていて気付いたのですが、各ホステルの紹介ページに BOOKING INQUIRY(予約・お問い合わせ) という項目があります。ひょっとして、ここから予約できるんじゃ?

てなわけで、早速やってみました。宿泊先は、街中から近いところが良かろうというのと、写真を見て何となく気に入ったというので、Långholmen(“ロングホルメン”と読むのが近いらしい)というホステルを選びました。入力フォームが出て来るので、それに名前や希望する月日や人数や日数を打って行けば よし。おお、なんて簡単なんだ。便利な世の中で嬉しいですね。

一日経ったら、こんなメールが返って来ました。

We've reserved 1 bed for you in a dormitory, with
referencenumber xxxxx.
Arrival:24/6, Departure:26/6
Price:SEK 210/person.
Payment is due upon check-in.

Check-in is between 3pm and 6pm. If you arrive later, you must inform
the hotel of your late arrival on the same day as check-in, phone +46 8
66*****. Otherwise we have the right to sell the room. You can also
guarantee your reservation with a creditcardnumber.
Cancellation is free until 6pm the day before arrival.

Please confirm this reservation before 18/6, or the reservation is
automatically cancelled.

Thank you for your reservation. We're looking forward to welcoming you
at Langholmen!

Yours sincerely

LANGHOLMEN YOUTH-HOSTEL
Reservations

おお! 海外から初めて“意味のある”メールを受け取ったぞ! なんか、かっこいー!
と、それはともかく、なんだって? 「午後3時から6時の間にチェックインしろ」? そんな無茶な。飛行機がそっちに着くのが午後9時45分でっせ。「遅れる場合は電話してくれ」ったって、だから、あたしゃ日本語以外喋れないんだってばさ。
それから何? 「6月18日までに予約の確認を」よこせだって? 「そうしないと自動的にキャンセルされます」? つまり返事をくれってこと?

また、難関が……

しかし、せっかくベッドを一個確保できると言ってくれてるのに、みすみす自動キャンセルになったりしちゃ筋が違います。ここは、何とかして返事を書かねば。併せて、到着が遅くなることも了解してもらわねばなりません。そこで、インチキくさいながらも英語でメールを打つことにしました。とにかく知ってる単語を適当に繋ぎ合わせ、当日の飛行機の時刻も明記して、意思を伝えるべく努力はしました(書いた文は、あまりに いい加減なので載せません。おそらく、英語の体裁は為していないものと思われます)。

そしたらその翌日、返事が来ました。

You can call the reception at phone number 08-66*****, to say when you arrive.
And your booking is confirmed. Welcome!

お。なんか、こっちの意志は通じたみたいだ。まだ しつこく電話せえって言ってるみたいだけど、とりあえず いいや。Welcome って言ってくれてるし。
かくして、最初の2晩は宿が確保できました。残りについては(大胆な挑戦になりますが)現地で見つけることにしましょう。

ついでに、秋田県ユースホステル協会まで出かけて、会員になってきました。これで、少し料金が割引になるはずです。

事前の準備としては、こんなもんでしょうか。海外旅行保険は、クレジットカードにくっ付いてるヤツでいいや。
あとは、写真屋さんに行って、フィルムを大量に仕入れて来るぐらいかな。

言葉について

ちょっとここらで、今後のこともあるので若干の解説を。

スウェーデンは、公用語はスウェーデン語ということになってますが、大抵の人は英語が出来ます。特に我々日本人は、一目見て外人だと分かるので、向こうの人達からは英語で話しかけられることがほとんどです。色々な案内表示も英語が併記されている場合が多く、スウェーデン語を全く知らなくても英語の知識が多少あれば何とかなります。

そして、先ほどからチョコチョコ書いておりますが、僕は、基本的に日本語しか出来ません。英語については中学校で習った程度の知識はあるつもりですが、それだけです。本格的に英会話を勉強したこともありません。書かれてある英語を 辞書を片手に追うことくらいは出来ますが、喋ることについては もう絶望的です。ましてやスウェーデン語なんて、一言だって分かりません。ただ、英語を聞き取ることは、どうやら半分くらいなら何とかなるみたいです(今回の経験による)。これから先、現地の人と会話を交わしたような記述も出てくると思いますが、向こうの話は半分しか聞き取ってないし、こっちはほとんど単語の羅列のみで意思を伝えていたということを、あらかじめ書いておきたいと思います。


さて、話を旅行当日へと移しましょう。

1日目


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written by tardy@k.email.ne.jp