徒歩・徒然


2013年8月21日(水)

サマータイム 中上英俊氏「多様な生活を送れる」本間研一氏「健康に悪影響与える」 (MSN産経ニュース)

どうしてこうも、亡霊のように消えたと思ったら現れて来るんでしょうか、この話は。

日本でサマータイムなんて冗談じゃない、というのが相変わらずの私の立場ですが、いつまで経っても賛成論者が まるで理屈の通らない理由を挙げて推進しようとしているのは、呆れるのを通り越して感心すらしてしまいます。ここまで無茶苦茶な我を通せるというのは、余程 自分に自信がないと出来ません。ある意味、すごい。

「わが国の夏至での日の出時間は、およそ午前3時半〜5時半。だが、国民の約8割は6時以降に起きるといわれており、日の出によって外は明るくなっているのに眠り続けている。一方、仕事の終業から就寝までのアフターファイブは大半が夜の暗い時間だ。

念のため言っておきますが、夏至の頃は日本は梅雨ですからね。陽射しがあることを前提にしてもらったら困ります。

朝陽とともに起きてきて陽が沈んだら寝る、というのは考え方としては結構ですが、それを徹底させるには結局、不定時法を復活させることが必要です。ある期間だけ ほんの一時間 時計を進めた所で、その理想を実現させるのは無理な話です。それに、この日本の やたら暑い夏、陽が沈んですぐ寝るなんて出来ますか? 私は無理です。

サマータイムにより朝の明るい時間を有効に活用できるし、アフターファイブも明るい時間に家族とのコミュニケーションやスポーツなどの余暇活動、地域社会でのボランティアなどに取り組め、多様な生活を送れるようになる。経済活性化も見込めるほか、生活習慣を変えることなく省エネルギーや温室効果ガス削減にも貢献できる。

今でさえ、暑さのために死人まで出ているというのに、さらに一時間 日の入りを遅らせて、それで省エネルギーや温室効果ガス削減って、どうして そういう結論になるのか、さっぱり分かりません。「明るい時間に」「コミュニケーションやスポーツ」「ボランティア」とか悠長なこと言ってられる季節じゃないんですよ、日本の夏は。

「経済活性化」なんてのに至っては、反論するのもバカバカしい。それが本当なら、現在 夏時間を実施している国々は不況知らずの筈です。

それに、「多様な生活を送れるようになる」と今の暮らしから一変するようなことを言っておきながら、すぐ次に「生活習慣を変えることなく〜貢献できる」って、矛盾も甚だしい物言いです。

明るい時間帯に下校・退社することで交通事故や犯罪の防止・減少にもつながる」

でも、冬は今のままなんですよね? 夏だけ防止・減少させたら それでいいんですか? まさか、何もやらないよりは良いではないか、という種類の理屈? それに、そのまま下校・退社してしまったら、家族とのコミュニケーションはともかく、スポーツやボランティアは どうなっちゃうんですか?

つまりは今回のこの記事でも、以前からの典型的な賛成論者の物言いが、またぞろ繰り返されているだけでした。もともと根拠の薄弱な利点をズラズラ並べて行くと相互に矛盾が生じる、という、検討する余地すら無い議論です。気付いていないのか、気付いていて わざと言っているのか、どちらにしても、賛成できる要素は少しも見当たりません。

そういうわけで、賛成論者の言うことには何の根拠も認められないのですが、我々反対派として歯痒いのは、結局「意味が無いから やめなさい」という主張しか出来ないところなんですね。明確なデメリットが生じる、というのであれば主張もしやすいのですが、せいぜい「今より一時間遅くまで西日が照ってるなんて勘弁して欲しい」ぐらいのことしか言えない。そこに賛成論者の付け入る隙が生まれ、いつまで経っても亡霊のごとく話が蒸し返されることに繋がるわけです。

サマータイムは生体リズムを崩し、睡眠不足をもたらす可能性がある。睡眠不足は肥満の原因となるほか、心筋梗塞などの心疾患や脳血管疾患、糖尿病など生活習慣病のリスクを高め、心の問題にまで悪影響を及ぼす可能性のあることが知られている」

という主張を一所懸命にしても、「現在 実施している国では、そんな問題は生じていないではないか」と反論されて おしまいです。夏時間の効用を信じきっている人にとっては、実例が 何よりも大きな主張の裏付けになってしまうわけで、時計をいじるのが面倒くさいとか 細かいデメリットを いくら言ったところで効果がありません。

とにかく、地道に

以上のようなことを訴え続けて行くしかないのだろうなと思います。

過日


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written by tardy@k.email.ne.jp